英国のTVコメディー  sit-coms
英国で人気のあるテレビ番組のジャンルは、伝統的にコメディーであります。この国でどうしてこうも笑いが求められているのか考えさせられます。しかも、かたや日本人の欲してるドタバタバラエティーとは感覚的には違います。いろいろ見てみると、いやに悲劇的や絶望的なものもあって文化の違いまでわかってくるのであった。
状況設定されたコメディーなので、Situational Comdey、略してSit-comと呼びます。

以前はなぜか、あまり日本にはほとんど入ってきませんでした。しかしWOWOWがコメディーUKを放送し始めたりして、結構日本でも目にするようになりました。まだまだマニア向けのような雰囲気がありますが、アメリカとは違う感覚にハマる人も多いようです。ここでも日本で放送したものを多く紹介するようにします。制作年の新しい方から並べました。


ハイっ、こちらIT課! the it crowd

WOWOWで放送。思いのほか長く続いているシリーズ。最初見たときは長続きしないような雰囲気があったんだけど・・・・・・正直言ってB級な感じがするし、そもそも設定がオフィスのパクリっぽい。
でも、この作品をわざわざ買ってきたWOWOWのスタッフは偉いと思った。英国のシットコムは、かなりえげつないことを笑うものが多いので、コメディーとしては結構重い。こういったたわいないギャグのほうが日本人には理解しやすいし、軽く笑えます。
シリーズ2以降になると、少し面白くなっています。


エキストラ:スターに近づけ! extras

WOWOWで放送。これはなかなか新しいタイプのコメディーではあります。エキストラ役でしか仕事がない俳優の話です。メインにはホントの有名俳優が出演して、現実と話がミックスされたようなシチュエーションと会話がポイント。あまりドタバタした大笑いのコメディーとは違うような気がします。
わりといい話なんですけど、現実は厳しい・・・といった結果で終わることが多し。
第1シーズンは有名人を中心としたシュールな話がメイン。第2シーズンになると、有名人は花を添える存在で、話はドタバタコメディーにシフトした感じ。


キャセリン・テイト・ショウ catherine tate show

日本未放送。もったいない。リトルブリテンより面白いのに。
この女性は才能あるのではないでしょうか。すべてのキャラクターを演じています。どこにでもいそうな、うっとおしい英国女性を演じ分けています。
軽く楽しむなら、これはこれで面白い。どこにでもあるようなギャグなんだろうけど、単純に笑えます。
ただ、DVD一本全部見ると、さすがに食傷します。毎回同じキャラクターが、同じギャグを繰り返すだけに思えてしまうのであった。演技力みたいなものは、すごいです。
このシリーズのピークは、シーズン2からコミックリリーフあたりです。


リトル・ブリテン little britain

WOWOWで放送。ここ10年くらいのシットコムの中では、ジ・オフィスとこのリトル・ブリテンが双璧のようです。典型的なうっとおしい英国人の姿を描写したものです。もちろん大げさな例だとは思います。こっちのほうが、言葉がわからなくても映像から笑える部分が多いので、理解はしやすいかも知れない。
2人組の男性が全部演じてますが、なぜか女装することが多いプログラムなのようであった。個人的には2人組の太ったほうが面白いと思います。背の高い方はどうも芸風が何を演じても全部同じのような気がする。シリーズ2以降は、しかたないけど同じことの繰り返しで食傷気味。

ピープショー peep show

WOWOWで放送。2人のルームメイト。女性問題に苦労しております。
心の中で思っていることをセリフにして言わせているところと、本人の視線と同調したカメラワークが新しい試みと言うべきか。そのわりにはうまくいってないような。
面白いようなつまらないような。でも、雰囲気的には英国コメディーの王道のような雰囲気があります。
ピープショーというのは、風俗の”のぞき部屋”のことなんだけど、それをタイトルにしたあたりが、一番笑えるシャレたポイントであります。

ジ・オフィス the office

WOWOWで放送。個人的にはこれ大好きなんです。スラウという英国郊外の町にある、製紙会社が舞台です。作り方がドキュメンタリー風でシット・コムとしては斬新な手法。
主人公は会社のボスです。自分勝手なのに自分のことをユーモアのセンスがあって、部下から好かれている、と思っている上司って絶対どこにでもいますね。
会話はちょっとぼそぼそしている感じ。映像から面白さが伝わるっていうよりも、会話の中でその間の悪さを笑う感じなので、単純に面白いと思えるものではないかも知れません。

フェニックス・ナイツ phoenix nights

日本未放送。舞台になっているのは、北部イングランドのボルトンという町にあるクラブです。小さな町ですからね、当然客のほとんどは高齢者だったりする。
主人公は、このクラブのオーナーです。お抱えの歌手がいたりするんですが、だいたいショボいショウで成り立っているようです。なかなか面白い。
訛りはあります。慣れるまでやや時間がかかりました。クラブ入り口にいるガードマンとか、バンドのドラマーとか、それぞれいい味出しています。DVD化された時には、すごい勢いで売れたそうです。


アラン・パートリッジ i'm alan partridge

日本未放送。これは1990年代に非常に人気のあった番組です。主人公はラジオ放送のディスクジョッキーなんですが、ホントはテレビの仕事に出たいけど、人気がないので早朝のラジオ番組をやってる男です。
ひどい自分勝手で、ラジオでも人の悪口ばかり言っております。さびれたホテル住まいをしてるあたりが泣かせます。
汚い表現も多いのですが、この人のアクセントは非常にキレイです。ポッシュな感じがするんですけど、どうなんでしょ。

ファーザー・テッド father ted

日本未放送。舞台がどこかよくわかりませんが、アイルランドに近い小さな島に住む神父さん3人の話です。当然、神父さんのわりにはハチャメチャなのであります。このあたりからしてコメディーとしての文化の違いを感じますね。見たときは、いいのかなあ・・こんな聖職者を笑いのネタにして・・・と思ってしまいました。
とても長いシリーズのようですが、人気はあるらしい。英国のコメディーの設定って、かなり極端に絶望感あるものを好みますね。島の生活は退屈で単調。部屋も綺麗じゃないし。英国の田舎ってホントはこういうものかも知れません。コッツ・ウォルズなんかは田舎を装った観光地なんだよね。

リーグ・オブ・ジェントルマン・奇人同盟 the league of gentlemen

今はなきBBCジャパンで放送。こちらも1990年から非常に人気のあった番組です。とてもじゃないが趣味のいいコメディーとは言えない。こういうのが大受けしちゃうところに、日本との文化の違いを感じたりします。特徴はホラー映画パロディーを笑いに取り入れたこと。全体的には暗くて、ドロドロしてところを楽しめるかどうかが好みの分かれるところ。シリーズ3まであって、さらに映画化までされた英国コメディーの傑作!と、英国では評価されているらしい。リトル・ブリテンは、この番組の影響をかなり受けていると思う。日本版DVDもありますが、タイトルを「奇人同盟」にしちゃってるところが、ちょっとストレートすぎる気がした。

オンリー・フールズ・アンド・ホーセズ only fools and horses

これもBBCジャパンで放送していた。1980年代に人気のあってシリーズ7くらいまで続いたようですね。3人の怪しげな卸業をしている家族3人のお話です。とにかく長い間続いたようで、話の中でも1人は結婚、お父さん役の人はシリーズ終盤で本当に亡くなってしまってシリーズ存続ができなくなるという、ある意味伝説的なコメディーです。やや古いタイプのコメディーになってしまっているかもしれません。
タイトルは英語の慣用句”愚か者と馬だけが働く”から来ているようです。ま、楽して金儲けをして生きていく3人の親子、しかし世の中そううまくいかない・・・というものであります。

イエス・ミニスター yes minister

日本未放送。こちらも伝統的なコメディーの味わい。これもかなり長いシリーズのようです。1人の内閣大臣の話であります。だいたいが想像できるように、政治家を皮肉ったものとも解釈できます。これも日本じゃありえない状況設定かも。会話は大臣クラスですからね、綺麗な英語です。ほかのシット・コムのように訛っていません。ただし、政治用語・行政用語も盛りだくさんで理解するには単語力も必要かも。英国の政治のバックグラウンドを理解していないとさらには難しいかも。自分はちょっと付いていけない感じです。ちょっとコメディーとしては、古めかしい感じになってきているのでないでしょうか。

フォールティー・タワーズ fawlty towers

多分昔放送されていたはず。これも昔人気のあったコメディー、1970年代の番組です。このころの番組としては日本ではモンティ・パイソンが有名ですが、コメディーとしてはこちらのほうが評価が高かったりします。モンティ・パイソンのメンバー1人が主人公です。これはやはり、ホテルを舞台とした状況設定が勝因だと思います。
このDVDは日本版も発売されていますが、3枚組BOXセットで結構いい値段するのがネックかも。服装や髪型に時代を感じてしまいますが、番組としては古さを感じさせない英国シット・コムの原点のような番組です。